どもです。
いわゆる「世界を救う」タイプのRPGに於いて、ラスボスが絡んでいる、パーティの長期的な敵対者な組織というのは、大別すると4パターンしかないね。
という話になったので、備忘的にまとめてみた次第。
ちなみに、何故4パターンしかないのか。については、
単純に、そういった世界危機を起こせるような力を持てる規模の組織なんて本当に限られているからです。
国家
例:TOR、TOV
パーティが所属する大本の共同体に牙をむかれては、そりゃあ大ごとです。
大国の国家プロジェクトともなれば、世界危機くらい起こせるでしょう。
とはいえ、国の全てが敵になるのでは流石に針の筵なので、例えば国の中枢を握る王侯貴族であったり、騎士団であったり、そういう団体と敵対して、その対抗勢力もまた存在する、みたいな流れになると思います。
また、世界に国家が1つしかないのか、2つ以上なのかで話が根本的に変わってきます。
このパターンで国家が2つ以上の場合、間違いなく戦争が起こります。
パーティは国対国の矢面に立つ存在となり、ゲームとしては自由度が大幅に下がります。SRPG向けのシチュエーションです。
普通のRPGの場合は、世界統一国家の方が無難です。
宗教(・思想団体)
例:TOA、3世代目以降のポケモンの大半
世界の国々全てに根を張ることのできる強大な存在が、宗教です。
現実でも、歴史を辿れば十字軍遠征や、現代でもISなど宗教を名目とした戦争が数多く起きていることから、その影響力の強さが知れます。
複数の国があり、かつ中世ファンタジー的世界であり、敵対者がラスボスを含めて人間で組織された集団であるなら、この線が有力になります。
ただし、注意しなければならないのが、「宗教とは化学である」という点です。
この理解を抜かして、現代人が宗教を描くことは不可能です。
宗教とは化学である
現代の日本人の大半が「地球は太陽の周りを回っていて、人類は猿から進化したもの」と認識しています。
しかし大半の宗教に於いては「太陽が地球の周りを回っていて、人類は神がそう造りたもうたもの」です。
科学などという技術と概念が生まれる前、世界の全てが「分からない」ものであった時代に、そこに生きる人々が、「分からない」に理由をつけて「分かる」ものにした。
これが宗教です。宗教とは「世界」を人間に「分かる」ようにしたものです。
そして科学とは「世界」を解析して「分かる」ようにしたものです。
我々が科学こそが世界の真理だと疑いを持たないように、宗教を心から信じる人々にとっては、宗教こそが世界の真理なのです。
ゆえに、敵対者となる宗教が、世界の共通宗教なのか、マイナー宗教なのかで話が全く変わってきます。
宗教を敵対者とするということは、その宗教にクローズアップしたシナリオになるということ。宗教こそがその世界の特性であり、特異点。それだけ個性的なものにしなければなりません。
が、個性的が過ぎる宗教を世界の真理とする人類に、主人公に、我々は感情移入をできるでしょうか。
だからこそ、TOAやFE風花雪月では、あくの強い統一宗教を下地としながら、主人公はそれと縁遠い環境で生きてきた者でした。
一方で新興宗教やマイナー宗教団体であれば、大変濃ゆい教義を抱えていたとしても、主人公らの価値観に影響がないので、そういった心配は要らないのですが…
今度は既存宗教との兼ね合いや、そんな小さな宗教がどうやって世界をどうにかする力を得たんだ、という話になってくるので、それはそれで一筋縄ではいきません。
現代以降なら思想的な団体もアリか
神の権威が薄れ、人々に多様性が認められると、自分たちの主張を世界に反映させようという勢力が台頭するようになります。
それらは政党であったり、団体であったり、委員会であったり、少なくとも表向きは営利ではなく善き思想のために動く集団です。
この手合いは本質的には異なりますが、動き方としては宗教団体に近い。
代表例としてはポケモンシリーズが挙げられます。特にルビー・サファイアの悪役はネットで「行き過ぎた環境保護団体」と評価されていますが、そういった集団が過激な思想に染まると、なかなかの脅威になり得ます。
しかし先に述べたように、こういう集団が台頭するのは現代以降です。
また、世界規模の大事を起こすには、どうしても展開規模が足りないので、ポケモンのように一地方・一国単位でゲームを形成する作品以外では難しいです。
企業
例:FF7、TOD、TOX2、ポケモン第一世代
文明が神から金の時代に移り変わると、世界的企業が持つ力は世界を牛耳るに足るものになります。
現実でも、例えばGoogleが人類に牙を剥いたら、大手軍事メーカーが世界に対して戦争を仕掛けたら…など考えるのも恐ろしいシチュエーションは山とあります。
国や宗教が独占していた「力」という概念が、ただの人に握れるものになるのです。
こうなると悪役のバリエーションも多岐に渡りますが、その方向性は「超利益追求」か「代表取締役の個人的な野望」のどちらかになると思われます。
利益のために損なわれる世界を守るか、そもそも企業自体が大いなる野望の下準備に過ぎなかったか、という感じです。
繰り返しになりますが、このパターンは文明レベル的には産業革命以降。大量生産・大量消費が世界に根付いた、近代または現代的世界でなければ成り立ちません。
侵略者
例:DQシリーズ全般、FF4、FF9、TOP、TOD2
世にあるRPGの中で、最も該当が多いのでは。
敵が世界の「外」からやってくるパターンです。
正確には「世界」というより「社会」。
主人公が所属する共同体の「外」の存在であれば、それがどのような規模を、力を持っていようが、知ったことではありません。
具体的にはFF4や9、TOPなど、惑星外からの侵略者。
またはDQシリーズのように、魔物という社会の外の存在。
あるいはTOD2のような、生命すら超越した上位概念の存在。
結局のところ、敵対者が「人間」でなければ、あまり小難しいことを考えずに済むんですよね。