どもです。
TOZをクリアしまして、ネットでは結構賛否両論の作品だと知りましたので私見をば。
多少のネタバレを含みますのでご注意。
全体:良くも悪くも挑戦作
話題を集めた「ヒロイン詐欺」といい、戦闘時に専用画面を作らないシステムといい、アニメーション先行配信もそうですが、今作は良くも悪くも挑戦作といった雰囲気でした。
戦闘画面についてはカメラワークに問題があることは明白でしたし、僕としては悪くない挑戦だったと思う「ヒロイン詐欺」もネット上ではかなり叩かれていますね。
ですが、新しい試みは長寿シリーズには必要なことですし、ある程度の失敗は仕方のないことだとも思います。
戦闘画面をシームレスにすることで、障害物を利用した戦闘など、今までにないギミックが作られたのもまた事実ですし、「ヒロイン詐欺」は一本道の物語に多少の意外性をつけることができました。
これらの挑戦の結果も一概に否定すべきものではないと思います。
システム:好き嫌い強し
悪くはないが、好き嫌いが分かれるシステムでした。
装備のスキル制については、僕はTOVやFF9のような「新しい装備を手に入れる喜び」が強いシステムが大好きなので、今作はちょっと不満。
但し、これは好きな人は好きなシステムだと思うので、一概に否定はしません。
戦闘がTOGタイプだったのも評価が分かれるところです。
僕はTOGの縦ライン・通常攻撃なしの戦闘システムは苦手ですが、「戦闘はGが至高」という意見も結構多いですし、この辺も好みですね。
新システムについては、テイルズ色は薄いですが、TOX路線に近いものがあると思います。
戦闘不能になることが前提のゲームバランスも好みですね。戦闘不能からの回復手段がアイテムや呪文ではなくシステム的に用意されているので、そこまで不満の発生するものではないと思います。
明らかに問題があったと思われるシステムは、マップ間移動の大量ガルド消費でしょうか。
移動時間を省略するために多額のゲーム内金銭を使用するのは、ワールドマップの存在しないRPGとしては失策だというのが個人的な意見です。
これによって、「サブイベントがあるかもしれないから前の街に戻ってみよう」とか、「かつて勝てなかった強敵にそろそろ勝てるんじゃないか」とか、そういった試みの意欲を潰してしまったように思います。
僕としてはシステムが肌に合わなかったので、2周目はないかなーって感じでした。
久しぶりにTOVの3周目でもやろうかな。スキル引き継ぎなしで。
シナリオ①:「ヒロイン詐欺」は筋が通った結末
ネット上で一番色々言われていたのがここですね。確かに、ヒロインだと思われていたアリーシャが早々とパーティを抜け、その後は重要NPCぐらいの位置に落ち着いた点は驚きました。
次に出てきたロゼがビジュアル的にパッとしないキャラだったので、アリーシャの可愛さに魅せられていたプレイヤーとしては腑に落ちなかったことでしょう。
しかし、シナリオを通して見ると、この大胆な挑戦は筋が通っていると思います。
アリーシャの夢は国と民を守ることであって、祖国から離れては達成できないものだったからです。
TOZのシナリオは常に「自分の答え」を求めるものでした。
アリーシャが旅に同行することは、自分の夢に背を向けて慣れ合いに興じることに他なりません。
確固たる「夢」のある彼女では、スレイと恋人関係になる結末こそ可能性としてあったかもしれませんが、同じ目標に向かう「仲間」になることはできないわけです。
彼女が騎士であることに拘るのであれば、あるいは共に歩む道もあったかもしれません。
あるいは、例の件で完全に志を折られてしまったのなら、話は違ったでしょう。
しかしアリーシャは、国と民を守る夢を諦めませんでした。
だから、彼女は「スレイの大切な友人」であっても、「仲間」ではないというわけです。
そのような意味では、結末も含めてアリーシャはTOZのテーマを体現するキャラクターであり、彼女はメインヒロインであったと言えるでしょう。
自分で人生を選べる人に手を差し伸べるなんてオコガマシイのですよ(゚∀゚)
それに、もう一人のヒロインのロゼとスレイは所謂「ずっ友」といった雰囲気で、二人の間に甘さは皆無。
曲がりなりにも良い雰囲気になったのは、あくまでアリーシャだけなんですよね。
シナリオ②:良いところも多いが作り込みは甘い
キャラクターの出来はかなり良かったと思います。
アーサー王物語を基盤とした、「超王道ファンタジー」感も新規層の獲得を目的にしたと思えば納得。
主人公のスレイはロイドとコレットを足して割ったような「使命感の塊」であり「理想論者」です。
彼の使命を支える仲間たちと、彼の人間性を支える「家族」とを中心とした、どこまでも主人公を中心としたRPGというのは、昨今に於いては逆に珍しくなったパターンでしょう。
ただ、物語に意外性がなかったために、「大きな謎の伏線を回収しながら進む」というシナリオ展開ができなかったことが問題でした。
これによって、物語をあまり長く続けることができず、長く続けることができないために「小さな謎」の伏線を用意することが困難だったようです。
それ故、「実は○○だったんだよ!」「な、なんだってー!」的な展開がちょっと多かったかなーと実際感じました。
敵対しているわけじゃないキャラクターが多数死亡する割に、その死亡が結構唐突だったこともそう感じさせる原因でしょう。
説明不足が目立ったな、というのが個人的な感想です。
テイルズっぽさ:★★☆☆☆
テイルズお得意の、中盤でシナリオをひっくり返す技が見れなかった、という点では今作はあまり「テイルズらしくない」と言えるかもしれません。
また、テイルズといえばDシリーズを除くマザーシップタイトルでは必ず「環境問題」か「種族間対立」を練り込んで来ましたが、今作の「天族」「憑魔」共に対立存在とはならなかった点も、テイルズらしくはなかったように思います。
恋愛色強めの作品が多いテイルズで、ここまで女っ気のない主人公というのもらしくないといえばないですが、恋愛色の薄いテイルズとしてはヒット作のTOVもそうですし、そこは一概に言えません。
まぁ、Vも幼馴染>ヒロインの構図が気に入らなかった人は多いみたいですがね(^_^;)
RPGに恋愛要素は必須事項ではないでしょう。
最終盤の展開として、一周回って生まれ故郷のイズチや育ての親に関するエピソードが繰り広げられ、EDでも兄弟同然の親友が最も強調された点は…、「腐女子に媚びた」というネット上の意見もありますが、元よりテイルズは性別問わず「幼馴染至上主義」なんですよね。TOXのレイアが激レアケースなくらいに。
そういう意味では、ここについてはブレてないと思うんですよ。テイルズとして。
総評
テイルズの最新作としてプレイすると違和感もあるが、RPGとしては悪くない。
過度な期待は禁物。
DLコンテンツの件さえなければもうちょっと穏便だったのかなぁ。
それ抜きでヒロイン詐欺を叩いてる連中は、マナーを知らない腐女子と大差ないのであんま真に受けない方が良いと思います。