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プレイヤーのモチベーションを保つRPGの3大要素 - 創作ど素人考察

Game,Tale > 考察 2017年1月29日(最終更新:5年前)

どもです。
毎度の備忘録。

王道は正道。何事も守破離の精神。
と、一般論を言うのは簡単ですが、果たしてRPGの王道とは何か。

悪いドラゴンを倒してお姫様を救出する?
いかにも王道な物語。
しかし実用のためには流石にここからエッセンスを抽出せねばならない。

というわけで、今回のテーマは、
プレイヤーのモチベーションを高めるRPGシナリオの要素です。結論からいえば、この3つ。

☆未知へのワクワク・ドキドキ
☆守りたい・助けたい・救いたい!
☆やろーてめーぶっ殺す!

そして重要なのは、この3つは「それぞれの嵩」ではなく「総量」で効果を発揮するということ。

シナリオ重視RPGの定番たるテイルズシリーズを中心に例示しつつ、追及していきたいと思います。

未知へのワクワク・ドキドキ

最終的にかなりこき下ろされたTOZですが、前情報なしで遊んだプレイヤーの中で、最序盤にテンション上がらなかった人は果たしてどれだけいたのでしょうか。

それくらい、TOZの導入は点数が高かった。
その理由が、このワクワク・ドキドキ感です。

主人公(プレイヤー)の見ている世界と、一般の人が見ている世界が違うとわかったとき。
閉ざされた世界から解放された第一歩と空の美しさ。
選ばれしもののみにしか抜けない剣が抜けたとき、
この先一体何が待っているのだろうと大層わくわくしたものでした。

…まぁ、このワクワク感はその辺がピークだったなぁというのは置いといて。

とにかく、「未知への好奇心」や「未来への期待」といったプラスの感情、
または「この先一体どうなってしまうんだ」というドキドキ感。

こういった要素は間違いなくプレイヤーのモチベーションを高めます。

このワクワク・ドキドキを大量に詰め込んだ人気RPGシリーズが「世界樹の迷宮」かなと思います。
TRPG風味でキャラメイク制なので、プレイヤーキャラクターに対して愛着以上の感情を持ちにくい。
しかし未開の地を切り開き、地に足付けて冒険している感じが、ワクワク・ドキドキを演出しているような。

また、RPGではありませんが、サスペンス、あるいはホラーといったジャンルはこのドキドキ感がモチベーションの大半であるように思います。
怖いけど先が気になる、気になって仕方ないからコントローラーを置けない。深夜のダンガンロンパで睡眠時間が削れたのは懐かしい思い出です。

守りたい・助けたい・救いたい!

悪党からお姫様を救い出す!
窮地に立たされたヒロインを心身ともに守り抜く!

RPGに於いて、か弱く愛らしい少女を救う物語はもはや定番中の定番。

しかし過去のヒット作を振り返ると、必ずしもヒロインたる少女を救うことが名作の条件とはなりえない。

というのも、守りたい・助けたい・救いたい!という気持ちこそがモチベーションになるのであって、
その対象は、その気持ちを芽生えさせられるものであれば何でもいいといえるからです。

例えば、TOX2。
多くのプレイヤーがヒロインのエルよりも、主人公のルドガーの幸をとかく願った作品なのでは。
どう足掻いても絶望、な状況の中で、少しでもルドガーを救える選択は…と僕も頭を抱えたものです。

更に言えば、その対象は人である必要性もなく(人喰いの大鷲トリコとか)、
もっと言えば、生き物である必要性すらありません。
この美しく残酷な世界を守りたい!とか、そういうモチベーションを持たせられるならそれでもいいのです。
流石にそのレベルの作品は僕は知らないのですが…。

TOZが悪評を受けた最大の理由はアリーシャのヒロイン詐欺ですが、
これもよく考えてみると、
序盤で「守ってあげたい、助けてあげたい!」というモチベーションをアリーシャに向けさせていたのに、
アリーシャがパーティを脱退したことでプレイヤーのモチベーションが行き場を無くしてしまった。
という分析ができます。
モチベーションを失ってしまうと残りはもう惰性でやるか、積みゲーになるか。
アリーシャが再びパーティinすることを期待してゲームを続ける、というのはちょっと辛い。
結局しないものだから猶更辛い。

この気持ちをモチベーションとさせたい場合、
その対象を常に意識したシナリオにしないと積みゲ率高くなりそうですね。

やろーてめーぶっ殺す!

シンプルですね。
敵を倒してスカッとしたい。

しかし、例えば評価の高いTOVでも
「ラスボスがポッと出で意味不明」とか、そういう評価が結構あります。
僕としても、シナリオの山は2章で、3章は2章の熱が残っているうちに終わらせた、という感想はありました。

では、果たして倒してスカッとできるラスボスとは。
そもそもラスボス戦まで「こいつ倒す!」のモチベーションを保てるラスボスとは。

シンプルな答えです。
ヘイトを稼ぐ。
ひたすらヘイトを稼ぐ。

「こいつをぶっ殺すまでコントローラーを置けるか!」って気持ちにさせる。

僕の感想ですが、TOZはラスボスのヘイト稼ぎが足りなかった。
ラスボスが唯一まともにヘイトを稼いだのが、ラスボス戦直前というのは如何なものか。
むしろラスボスに同情的な描写が多く、戦わないと救えない、という結論に走ろうとするも、
「救いたい!」という気持ちにさせる描写も足りず…。

やはりラスボスは、徹底的にヘイトを稼ぐか、
そうでなければ全編通して「救いたい!」を育むかの2択かなと思います。

重要なのは「総量」

では、今挙げた3大要素を全て、ふんだんに詰め込んだ作品を作ったら、良作になるのか。

確かに「なる」可能性は高いと思います。
が、それだけが正答ではないとも思います。

先に挙げましたが、世界樹の迷宮なんかは「ワクワク・ドキドキ」の比重が非常に大きい。
それ以外の比率はあまり高くありません。

一方で、例えばFF10。
ラスボスの悪行は多きけれど、事情が見えてくるにつれてヘイトは消え失せ、
それよりも「ヒロインを守りたい!」とか「親父を助けたい!」とか、
そういう気持ちに突き動かされる作品でした。

では、ラスボスへのヘイトに突き動かされる名作はあるか。
DQ4辺りがそうじゃないかと思います。
両親、親友(恋人?)、沢山の親しい人が自分を守るために犠牲になった、
全てを失った孤独からのスタートは、ラスボス討伐に向けてのモチベーションを高めました。
それだけにリメイク要素のロザリー復活は賛否両論となったと。

つまるところ、これらの要素はあくまで
プレイヤーにモチベーションを与えるための要素であるため、
モチベーションの総量こそが重要であり、3要素全てに気を遣う必要はない、ということです。

一方で、これらの総量が低い作品は積みゲ行きだと思った方がいい。
故にモチベーション要素管理は、意識的に、明示的に行っていくべきなのでしょう。

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